ChatGPTを初めとする近年の生成型AIがここまで大きく注目されることになった一つの理由が、自然言語処理(Natural Language Processing)という技術が大きく発達し人間の作る文章と比べても遜色ない文章が書けるようになったことが挙げられます。
自然言語処理は、コンピュータによる自然言語の理解や生成を可能にする技術で、これによりテキスト分析や翻訳、音声認識などに幅広く応用することができます。
自然言語処理の応用技術は、ビジネス分野や医療分野など、様々な分野で活用されています。例えば、ビジネス分野では、顧客の声を分析することによって、商品開発やサービス改善に役立てることができます。また、医療分野では、病歴データを分析することによって、より精度の高い診断や治療法を開発することができます。
自然言語処理の応用例
自然言語処理では、準備した言語データに対してテキストデータを前処理して、トークン化や形態素解析などの処理を行います。その後、構文解析や意味解析を行い、テキストの概要や意味を把握します。最後に、応用技術によって、テキスト分類や要約、翻訳、音声合成を行います。
自然言語処理による応用技術としては、以下のようなものがあります。
1. テキスト分類
テキストをカテゴリに分類する技術です。例えば、ニュース記事を政治、経済、スポーツなどのカテゴリに分けることができます。
2. 要約
長文を要約する技術です。自動要約技術によって、長い記事やレポートから要点を抽出し、要約を作成することができます。
3. 翻訳
自然言語処理を使って、異なる言語間でテキストを翻訳することができます。Google翻訳などがその代表例です。
4. 音声認識
音声に含まれる言葉を文字に変換する技術です。音声認識技術によって、音声からテキストデータを取得することができます。
AI技術が進歩する中で、自然言語処理技術もより高度になっていくことが期待されます。今後も、様々な分野で自然言語処理技術が活用され、人々の生活をより豊かなものにしていくことに期待がもてます。
自然言語処理のブレークスルー
この自然言語処理を大きく発展させる契機となったのが、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers:Transformerによる双方向のエンコード表現)と呼ばれる、2018年10月にGoogleが発表した自然言語処理モデルです。
このモデルは、言語モデルの中で単語だけの意味を切り取る(文脈自由モデル)のではなく、文脈全体としてその意味を理解する『文脈モデル』を基本としています。
- 文脈自由モデル: 私 は 花 が 好き です (各単語を分解して理解)
- 文脈モデル: 私は花が好きです (一続きの文章として理解)
この文脈モデルも、従来は文章の始めから終わりまでの一方向で文章を読んで意味を理解しようとするモデルでしたが、文脈を構成する単語の意味を正確に把握しようと思ったら、最初からだけではなく、後ろからも文脈を読み取ることでより正確に理解することができることは、皆さんも理解いただけると思います。
この双方向というところが肝で、この技術により、AIが言語を理解する能力を飛躍的に向上させることができました。
まとめ
従来のAIの文章と言えば、非常に堅苦しくトンチンカンな返事をするという印象がありました。過去AIは何度かブームがありましたが、それが原因で失望と諦めを感じて映画『ターミネーター』やドラえもんのような世界は現れないんだと思われてきました。
それが、このBERTという技術を取り入れることにより、そこまで大量のデータを必要とせず、精度の高い文脈理解ができるようになりました。
今、私が担当しているDXプロジェクトでも、自然言語処理を活用してデータの読み取りを自動化することを検討しています。これによって、従来人間が時間をかけてやっていた個々のデータの読み込みをAIに取って代わることができます。エンジニアにとって、データは命です。新しい技術を正しく理解して、適切に使いこなせるようにしていきたいですね。
目指せ、IT人材!
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