はじめに
現在、非常に多くのAIツールが登場しています。2022年の画像生成AIを皮切りに、一気に世の中に浸透した感があります。
この現在のAIブームの前からビジネス界で導入されているAIサービスをご存知でしょうか?それが今回紹介する「IBM Watson」です。
IBM Watsonは、アメリカのテクノロジー関連企業の「IBM」が作ったAIソリューションサービスです。世界170か国以上で事業を展開する世界最大規模のIT企業であり、2006年に提供を開始したIBM Watsonは様々な産業分野に応用されています。
クイズ王に勝ったAI!?
IBM Watsonは2011年、イギリスの有名なクイズ番組「Jeopardy!」に出演し、その当時の人間のクイズ王と対戦し、優勝してしまいました。
このニュースは大きな衝撃で、IBM Watsonを一躍時の人(?)にしました。日本でも話題になったそうです。
それほど有名になったIBM Watsonとは、自然言語処理、機械学習、データマイニング、そして人工知能の技術を組み合わせた、高度なコグニティブ・コンピューティング・システム(※)です。
(※)コグニティブ・コンピューティング:人間が行うような特定のタスクを実行するために、機械学習手法を利用する自律学習システム
IBM Watsonは、データを分析してパターンを把握し、その結果をもとに、質問に回答することができます。このシステムは、人工知能による言語理解と推論の能力を持つため、人間と同じように判断し、膨大な量の情報を迅速に処理することができます。
IBM Watsonの活用
IBM Watsonの利用に当たって、ユーザーはIBM Watsonにアクセスし、質問やデータを入力します。IBM Watsonは、入力されたデータを分析し、その結果をもとに、回答や提案を返します。ユーザーは、その結果をもとに適切な判断を下すことができます。
IBM Watsonの応用例は多岐にわたります。セールス支援、顧客対応、マーケティング、教育、そして健康管理など、多くの分野で活用されています。IBM Watsonを用いることで、ビジネスプロセスの自動化、人的エラーの削減、生産性の向上など、多くの利点をもたらすことができます。
実際に多くのビジネス分野で使用されています。たとえば、金融業界では、市場の動向や株式の評価、投資家の動向を分析することができます。健康保険業界では、患者の健康状態を分析し、医療行為や治療法を提案することができます。また製造業や物流業界では、製品の品質管理や在庫管理、配送管理などを支援しています。
IBM Watsonのデメリット
IBM Watsonは、多くの分野で活用されていて十分な実績がありますが、以下のようなデメリットもあります。
コストが高い
Watsonは、高度な自然言語処理や機械学習などの技術を用いていますが、Watsonを利用するには、IBMに対してライセンス料や使用料を支払う必要があります。それだけでなく、Watsonに適したデータやドメイン知識を用意するためにも、多くの時間や労力がかかります。
ブラックボックス化
Watsonは、膨大な量のデータから仮説や答えを導き出しますが、そのアルゴリズムの詳細は不明です。特に、医療や法律などの重要な分野でWatsonを利用する場合は、その信頼性や倫理性に問題が生じる可能性があります。
正確なデータの入力
Watsonはデータに基づいて様々な判断を下します。そのため、入力するデータの精度に大きく依存します。私たち人間がデータを吟味を行う必要があります。
人間との協調が必要
Watsonは、人間の能力を補助する拡張知能として位置づけられていますが、それは逆に言えば、Watsonだけでは十分な結果を得られないということでもあります。Watsonは人間の指示やフィードバックに基づいて学習しますが、それには人間側もWatsonの仕組みや能力を理解し、適切に対話する必要があります。
IBM Watsonは優れたAIサービスですが、デメリットも無視できません。あくまで、その特性や限界を把握し、目的や状況に応じて適切に活用することが重要です。
IBM Watsonの創る未来
IBM Watsonは、今後ますます高度な機能を獲得していくと予想されています。クラウドサービスにより多くのユーザーがアクセスしやすく、機械学習技術により、ユーザーが使用する度により正確な結果を提供するようになっています。
さらに、2023年5月には、IBMは新しいAIとデータ・プラットフォームである「IBM watsonx」を発表しました。IBM watsonxは、基礎モデルと生成AIを組み込み、企業のデータを用いて最先端のAI活用の拡大・加速を可能にするプラットフォームです。IBM watsonxにより、企業はデータを管理しながら、ビジネス全体にわたって自社向けのAI機能を迅速に学習・展開することができます。
まとめ
AIツールはChatGPTだけではありません。IBM Watsonのように、15年以上前からビジネス界を支えてきた技術も存在しています。あなたのビジネスにもIBM Watsonはベストなソリューションを提供してくれる可能性があります。
是非、選択肢の一つに加えてみてください。
AIと共に未来を創る!
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