はじめに
世界で生成型AIがトレンドを席巻しています。日本でも、自国産の生成型AIの開発が盛んになっており、AIのニュースは毎日のように新しい情報が飛び交っています。
そのような中で、総務省が2024年度予算の概算要求で、生成AI(人工知能)や量子通信などの先端技術の開発促進に589億円を求めたとのニュースが公開され、AIのトレンドはIT産業の枠を飛び越えて、国家間の競争にまで広がりを見せています。
AI先進国を目指す日本
大量のデータを学習して、文章や画像、音声などを自動的に生成する生成型AIは、ビジネスや教育、エンターテイメントなど様々な分野で活用できる可能性があります。しかし、日本ではこの生成型AIの研究・開発に遅れを取っており、国際社会での確固たる地位を確立するためにも、国産の生成型AIを開発・育てる必要があります。
現に、多くの日本企業・団体が独自の日本語大規模言語モデル(LLM)を開発し、ビジネスに活用しています。
そのためにも日本では、2022年4月「AI戦略2022」を策定し、人材育成や技術体系の確立、社会実装の促進など5つの戦略目標を設定しました。
国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)が生成AIの基盤技術であるLLMの開発に必要な言語データを整備しており、その後ろ盾として総務省が支援しています。
日本語を中心とした学習用データ基盤を整備し、民間企業に開放して「国産」の生成型AIの開発を後押しするのが狙いです。
このように、日本は国産の生成型AIを育てるためにさまざまな取り組みを行っています。
AIだけじゃない最新分野
また、量子通信も注目されている分野です。量子通信とは、光子などの量子を使って情報を送受信する技術で、従来の通信よりも高速で安全な通信が可能です。しかし、量子通信には高度な技術が必要で、まだ実用化には程遠い状況です。
そこで総務省は、NICTによる基礎的な研究開発として321億円を計上しました。また、次世代光通信基盤などの第6世代通信(6G)研究開発の加速にも155億円を計上しました。これらの技術は、将来的には生成型AIとも連携して、新たなサービスや産業を生み出す可能性があります。
他国のAI開発支援の現状
当然、この流れは日本だけではありません。
各国政府のAI技術に対する開発支援の状況は以下のようであり、正直日本政府の今回の発表も霞んでしまうぐらいの規模感です。
アメリカ
2026年までにAI予算(非国防)を年間320億ドルに。
中国
2021年3月新5か年計画(2021-25年)でAIを重点分野に位置づけ、総額は公表されていないが、2017年の計画では2030年までにAI産業規模を1500億ドルにするという目標が掲げられている。
欧州
2021年4月「AI利用に関する包括規制案」を公表し、AIシステムの開発・導入・利用に関するルールや監督体制を定めるとともに、AI研究開発やイノベーションの支援を行うとしている。具体的な予算額は明らかにされていないが、2021-27年のEU予算ではデジタル分野に134億ユーロを割り当てるとしており、その一部がAIに充てられると見られる。
シンガポール
2019年11月「国家AI戦略」を発表し、国家的課題の解決や経済成長の推進に向けたAI活用を目指すとしている。具体的な予算額は公表されていないが、2019年3月には5年間で5億シンガポールドル(約400億円)を投じるという「AIイノベーション・プログラム」が発表されています。
まとめ
生成型AIや量子通信は、今後の世界を牽引していく基盤技術になっていくと考えられます。それこそ、今後数十年間の国家の趨勢を左右するほどの重要な技術になります。
正直、日本政府の投資額は世界的に見るとまだまだ足りないように感じますが、これが大きなうねりとなって、官民連携し大きな流れになっていって欲しいですね。
私もその流れの一助になれるよう、今後も生成型AIを主軸に最新情報や解説記事をお届けしていきます。
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