前回、デジタル後進国となってしまった日本の課題を紹介しましたが、日本全体のデジタル競争力を高めるためには、個々の自治体や企業での取り組みだけではダメで、行政での取り組みが重要です。
日本の行政の取り組み
内閣府は、2016年に”Society 5.0”という枠組みを提唱し、IoT、AI、ロボットなどの先端技術を取り入れ、社会課題を解決する新しい価値の創造と、経済発展を目指す基本計画が示されました。
日本には、世界一の高齢化、労働人口の減少などの課題があり、これをデジタル技術を使って解決することができれば、その技術をモデルケースとして、世界に売り込んでいける可能性があることに言及しています。
また、長い間見直されていない法規制の課題もあります。テクノロジーの高速な進化に合わせて、企業や産業のイノベーションを阻害しない法律や規制の見直しがなければ、サービスの展開や検証実験などが実施できない危険性があります。
日本のデジタル後進国脱却への提案
日本がAI開発で世界をリードするためには、以下のような提案が考えられます。
①AI関連投資の拡大
欧州の一部の国々は、AIの利用に関する包括的な規制案を公表したり、国家安全保障や経済成長のためにAIの予算を大幅に増やしたりしています。日本も必要な資源やインセンティブを整備し、国内外のパートナーシップの強化が求められています。
②AI関連の人材育成
アイルランドは、国内の労働人口あたりのAI関連従事者人口が欧州内で最高であり、多くのAI企業や研究機関が集まっています。これは、アイルランドが高等教育や企業での人材育成プログラムに注力してきた結果です。日本も、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度などを通じて、幅広い分野でAIリテラシーを高めるとともに、AI技術者やビジネス革新者を育成すべきです。
③AIの技術革新への挑戦
AI技術は、品質や信頼性が高く、安心・安全なものでなければ、社会に受け入れられません。現状のAIは、その意思決定プロセスが不透明であり、説明可能なAIなどの技術開発が重要です。日本は、そのような分野で世界にリーダーシップを示していくことが必要です。
国際AI戦略推進チーム発足
2023年8月3日に、政府は生成AIをめぐる国際的な枠組みを議論するための特別チームを立ち上げることを発表しました。
このチームはAIの利活用や国際的なルールづくりなどにおける日本の存在感を高めることを目指して、内閣官房や外務省、総務省、デジタル庁などで構成され、チームのトップには村井英樹総理補佐官が就任します。
また、この村井補佐官はまだ43歳という若手でありながら、複数の事務局長を歴任し、そのどれもで様々な政策の企画立案・取りまとめを担当してきた、かなりのやり手のようです。このチームの活躍には期待したいと思います。
まとめ
デジタル競争力の低下は、国家の衰退につながりかねない喫緊の課題です。国も少しずつ取り組みを進めていますが、私としては、私たち一人一人が変わろうとする努力をしなければ意味がないと考えます。
このAIという大きな流れに乗り、行政や企業だけに任せるのではなく、どう活用すれば日々の生活や業務に取り込めるのか、AIに使われる側ではなく、使う側になれるよう学びを続けていきます。
目指せ、デジタル人材!
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